ピッコロの戦闘力の謎に迫る

戦闘力
引用元 ドラゴンボール 集英社

ドラゴンボールにおいてピッコロは人気上位に間違いなく入るでしょう。
ジャンプの人気投票でも悟空や悟飯、ベジータといったキャラに次いで、5位を獲得していました。
鳥山先生自身もピッコロのことが好きだという情報もあります。

しかし、そんな人気キャラのピッコロですが、最初こそ悟空の敵、ライバル役として登場するものの徐々に共闘する仲間になり、物語終盤では完全に戦線離脱し、軍師的なポジションに収まってしまいました。
この流れはピッコロに限らず、ヤムチャや天津飯など他のドラゴンボールキャラでも同様の傾向がみられますので定番の展開といえるでしょう。
とはいえ、ピッコロは人造人間編中盤までは神様と融合して一時的に悟空、ベジータをしのぐ強さをみにつけていますので、一概にヤムチャや天津飯と同一視することはできません。
本記事では、そんな微妙な立ち位置にいるピッコロの戦闘力の推移について考察していきます。

ピッコロ大魔王時代の戦闘力

ピッコロ大魔王の戦闘力は大全集などの公式書籍等では260とされています。
しかし、公式の戦闘力は以下の記事でも詳細に分析していますが、かなり怪しいところがあります。

とはいえ、ピッコロ大魔王関連でおかしなところは、神様との戦闘力の比較であって、ピッコロ大魔王自体の260はそれなりに妥当な数字と言えると思います。
とはいえ、戦闘力自体がサイヤ人編から導入された指標で、かつ基準となる8年後の悟空とピッコロの戦闘力をそれぞれ416、408と低めに設定してしまったため、それ以前の戦闘力を矛盾なく収めるのが難しくなってしまった感はありますね。

しかし、戦闘力は本来強さを表す指標の一つでしかありません。
例えばピッコロ大魔王が自分が生み出した魔族であるタンバリンはシンバルの数倍強いという言い方をしていますが、これは、あくまでピッコロ大魔王の感覚値で数倍強いということであって、戦闘力に換算して数倍強いということにはならないはずです。

また重要なのは戦闘力を数値化しているスカウターは、おそらく気を何らかのメカニズムによって計測し数値化していると思われますが、悟空たちが明確に気をコントロールしたり感じたりできるようになったのは、神様の修業以降の話です。
ですので、気をコントロールする以前の「強さ」は単純な気の大きさだけではなく、武術の経験やテクニック、力の強さ、スピードにも影響されていたはずです。
もちろん、これらは気の大きさとの相関関係があるのは間違いないはずですが、気をコントロールする術を身につけていない頃を戦闘力で置き換えようとするのが、そもそも間違っているのかもしれませんね。

第23回天下一武道会の時のピッコロ(マジュニア)の戦闘力

前述したようにラディッツ襲来時のピッコロの戦闘力は重りを外した時点で408と明確に原作に記載されています。
では、その5年前にあたる第23回天下一武道会で悟空と戦った時のピッコロの戦闘力はいくつだったのでしょうか?
実はこれは結構な難問で、戦闘力という概念が導入される前のキャラクターの戦闘力をどう考えるか?という問題と絡んで、ひとによって考え方が大きく変わるところです。
まず、ラディッツ襲来までの5年間で悟空とピッコロの戦闘力が上がっていないわけがない、と考える人が多いと思います。
何よりピッコロは悟空と違って、魔貫光殺法を編み出しているのだから、必死に修業をしていた。
なので、天下一武道会時点では300くらいだったのではないかという意見が多いようです。

しかし、魔貫光殺法という戦闘力を編み出し、悟空と違い平和ボケせずに悟空打倒のために必死に修業をしてきたはずなのに、肝心な戦闘力自体は悟空より僅差ながら下回っています。
これはどういうことでしょうか?
ピッコロも実はたいして修業なんてしていなかった。5年前の天下一武道会の時も戦闘力は400くらいでほとんど変わっていなかったのではないでしょうか?
というのもピッコロは天下一武道会で悟空に負けただけでなく、情けをかけられ命を救われています。
敗北後に再戦を口にし、「その甘さが命取りになる」とまで啖呵を切っておきながら、実際には5年間悟空と戦っていなかったようです。

では何をしていたかというと、悟空を倒すために魔貫光殺法を編み出したようなのですが、正直これが悟空を倒すための必殺技だと考えていたとしたら、ピッコロも十分に平和ボケしていたと言わざるを得ません。
そもそも、魔貫光殺法は撃つまでに非常に長い時間気をためる必要があります。
そして気をためている間は集中しているため、非常に隙だらけになります。
ラディッツ戦の時のように悟空が時間稼ぎをしてくれないとまともに使えません。
おそらくピッコロも悟空に命を助けられ、なんとなく気が抜けてしまっていたのでしょう。
しかし、「悟空を倒す」ことはピッコロが父から受け継いだ唯一絶対の存在理由でもあったわけですから、およそ実戦向きではない必殺技を編み出し、修業をしていた気になっていたのだと思われます。

ベジータ、ナッパ襲来時のピッコロの戦闘力

悟空の犠牲により、ラディッツを倒することに成功したピッコロですが、ラディッツが死ぬ直前にドラゴンボールの秘密をしゃべってしまう事により、地球はベジータ、ナッパに目をつけられてしまいます。
物語の展開上、ベジータ、ナッパが地球にやってくる理由が必要だったわけですが、これはピッコロの痛恨のミスでしたね。
通信機の存在を知らなかったので仕方ないとも言えますが、今にも死のうとしているラディッツに対する優越感からか、話す必要がない情報をわざわざ与えてしまったわけですから。

そんなこんなでベジータ、ナッパはドラゴンボールを求めて地球にやってくることになりましたが、この時のピッコロの戦闘力は平常時で1,220と計測されています。
3年前が約400だったことを考えるとおよそ3倍以上にまで上昇していることになります。
これだけを見ても、ラディッツ襲来までの5年間はろくに修業をしていなかったことが分かります。
人の成長において明確な目標や動機がいかに大事かということを表しているとも考えられますね。

さて、ピッコロの平常時の戦闘力は1,220で確定なのですが、気を高めることによる最大戦闘力はいくつだったのでしょうか?
ラディッツ戦の時に416の戦闘力だった悟空はかめはめ波を撃つ際に気を一か所に集中させることで瞬間的に924という数値が計測されています。
同様にピッコロの魔貫光殺法は1,330という平常時の3倍以上の数値をたたき出しました。
しかし、この数値はあくまで指先に集めた気の大きさが戦闘力に換算すると1,330になるというだけであって、この時のピッコロが戦闘力1,330で戦えるというわけではないことには注意する必要があります。

そして、もうひとつこの時のピッコロの戦闘力で検証する必要があるのが、大全集などの公式ファンブックなどに掲載されている3,500という数値です。
公式ファンブック等の戦闘力が信ぴょう性に欠けることは下記の記事でも検証していますが、ピッコロのこの3,500という数値も非常に怪しいです。

まず、原作内には上記の通り1,220という記載しかありません。
もちろんサイバイマンを一瞬にして葬り去ったことから、最大戦闘力はずっと高いことはわかりますが、それでも3,500はさすがにないでしょう。
おそらくこの数字は悟飯が魔閃光を撃った時の2,800という戦闘力が原作内で出ているため、師匠であるピッコロの戦闘力をそれ以下にするわけにはいかない、という編集者の配慮があったのではと思われます。
とはいえ、この3,500に関しては魔貫光殺法限定の戦闘力だとすると、1,220の約3倍になりますので、整合性がとれています。
しかし、魔貫光殺法は使用するのに長時間のタメが必要な欠陥技とも言えるような技ですし、そもそもナッパ戦においてピッコロは魔貫光殺法を使っていません。
それでも、ピッコロの名誉のためには、どうしても悟飯以上の戦闘力を掲載するしかなかったのでしょう。

ナメック星到着時のピッコロの戦闘力

ナッパに殺された後、ピッコロはヤムチャや天津飯、餃子とともに界王星に行き、界王様に修行を付けてもらう事になります。
その後、ピッコロはナメック星のドラゴンボールで生き返り、ナメック星へ行くことになります。
この時のピッコロの戦闘力はどれくらいだったのかも議論が分かれるところです。

よく言われるのは、フリーザのところに向かう途中で出会ったネイルに、「しんじられんほどのパワーをみにつけている」と言われていることから、最低でもネイルの戦闘力42,000以上はあるはずだというものです。
しかし、私は様々な理由からこの時のピッコロの戦闘力は10,000くらいが妥当だろうと考えています。
ネイルのセリフについては、下記の記事で詳細に考察していますので、参考にしてください。

ここでは、簡単にピッコロの戦闘力がネイル以上ではありえない理由を列記します。

  • 界王星での修業期間が5日と短すぎる
  • 界王星の重力は10倍なため、ネイル以上の戦闘力になることは考えにくい
  • ピッコロはベジータと戦ってすらいないため、ベジータより強い存在を具体的にイメージできない
  • 界王様もピッコロがナメック星に行く前提の修業はしてくれない

以上の理由から、ピッコロのこの時点の戦闘力は10,000程度が妥当だろうと思われます。

なお、ネイル融合後のピッコロの戦闘力についても、上記の記事内で考察をしていますので、興味のある方はぜひご覧ください。

人造人間編以降のピッコロの戦闘力

人造人間編以降の戦闘力を考察するのは非常に難しいです。
それは下記の記事でも述べている通り、戦闘力という概念がナメック星編の終盤頃から具体的な数字として表示されなくなってしまったため、人造人間編以降の戦闘力を考察するにあたっての基準値が人によってばらばらになってしまうからです。

神様と融合した後の戦闘力や、それ以前の悟空と修業をした時点の戦闘量についても考察をしています。
ギリギリ筋道を立てて考察ができるのはそこくらいまでですね。それ以降先の精神と時の部屋で修業をした後のピッコロや魔人ブウ編、そして最終回時点のピッコロの戦闘力などは分かりようがありません。
ネット上などでは、どんぶり勘定で気前よく戦闘力を強い順に積み上げていって、ベジットなどは1垓などという途方もない数字まで出てくる始末です。

まあ、具体的な戦闘力数がない以上、この途方もない数字が間違っていると断定もできませんし、ドラゴンボールは理屈や論理を無視して感覚で楽しむものだと考えている人も多いでしょうから、一概に否定するものではないかもしれませんね。

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