ブウ編になって突然登場した界王神ですが、最初の方こそ天下一武道会でピッコロを棄権させるなどの圧倒的強キャラ感や宇宙全体を統べる最高神としての権威性を醸し出していましたが、徐々に化けの皮が剝がれていってしまいました。
そのあまりの落差からか、読者からは「無能神」などと揶揄されてしまう始末です。
この記事では、界王神がなぜ「無能神」と呼ばれているのか?
また、本当に無能なのかを検証していきたいと思います。
そもそも界王神とはどんな存在なのか?
ドラゴンボールには界王神のように「偉い方々」がたくさん登場します。
まず一番最初に登場したのは地球の神様ですが、その次に閻魔大王、界王、大界王、そして界王神です。さらには、大界王神というポジションもかつては存在していたようです。
まるで戦闘力のインフレのように、後に登場する人の方が偉さが上がっていくのですが、管轄する範囲もそれに比例して広がっていきます。
神様はあくまで地球という星のみを管理する神ですが、界王は銀河系の一部分を管理しているようです。ブウ編序盤で銀河系を管理する界王は東西南北の4人存在していて、我らの界王は北銀河を管轄する界王のようです。
さらに上には大界王という存在もいるようですが、原作では名前のみで実際には登場していません。
おそらくは銀河系全体を管轄しているのでしょう。
閻魔大王は少し特殊で、他の神様たちと違って星や銀河を管轄するのではなく、あの世の番人のような役割をしています。
界王が死んだ際も、閻魔大王のもとに向かっていましたので、一見界王よりも偉いように見えますが、実際には序列的には界王よりも低いようです。
そして、界王神は原作内の説明によれば、最初は「全宇宙を統べる界王たちの神」という説明がされていました。
しかし、ブウ編中盤で界王神にも界王のように東西南北の管轄があり、その上にはかつて大界王神も存在していたという事実が明らかになりました。
このあたりの「全宇宙を統べる界王たちの神」からの格下げ感も「無能神」と呼ばれる要因のひとつになっているのかもしれません。
さらに、これはドラゴンボール原作の話ではありませんが、「ドラゴンボール超」においては、ビルスたち破壊神や天使、大神官、全王といったさらに上位のポジションのキャラが登場していますので、読者にとっては余計に小物感が出てしまったというのもあるかもしれません。
無能神と呼ばれる理由
無能神を無能神たらしめているのは、前述したようにポジションが徐々にしょぼくなっていってしまったことだけではありません。
その行動や判断、実力においても十分に無能神と呼ばれてしまうだけの理由があります。
- 悟空たちの実力を見抜けなかった
- 知識が意外と少ない
- 特殊能力が少ない
- 戦闘力が低い
主な理由としては上記がありますが、ひとつずつ検証していきましょう。
悟空たちの実力を見抜けなかった
界王神が無能神といわれる理由のひとつ目は、やはり悟空たちの実力を見抜けなかったという事につきるのではないでしょうか?
もちろん、界王神は悟空たちがフリーザを倒したことや、スーパーサイヤ人に変身できることも知っていたようですが、自分の戦闘力をはるかに上回る力を持っていることまでは予想できていませんでした。
バビディの部下たちとの闘いが始まると、界王神は終始、悟空やベジータの力に驚きっぱなしでした。また、本人も自責を感じていましたが、そのせいで魔人ブウを復活させることになってしまったとも言えます。
ヤムーとスポポビッチに悟飯のエナジーをわざと吸収させたのは大きかったですね。
これで、魔人ブウ復活に必要な力の半分近くを与えることになってしまったのですから。
知識が意外と少ない
全宇宙を統べる神というからには、宇宙内のありとあらゆる事象について知っていてもおかしくないと思うのですが、実際には界王神はびっくりするほど重要なことを知らなかったりします。
思いつく限り列挙しても、ドラゴンボールの存在、ゼットソードやポタラの秘密、セルのことを知らないなどがあります。
宇宙全体を統べているということは、むしろ地球やナメック星のようなローカルなできごとは把握していないという考え方もできますが、悟空たちがフリーザを倒しことは把握していたのにドラゴンボールのことはよく知らないというのはあまりに片手落ちではないでしょうか?
ましてやドラゴンボールのことは老界王神は知っていたのですから、界王神も知っているべきだと思います。
そして、その後のセルとの闘いはブウが封印されている地球で行われました。
その戦いは下手したら地球どころか太陽系すら消し飛んでしまうほどの戦いだったのですから、ブウの復活をあれほど危惧していた界王神の立場としては当然把握し、必要に応じて介入するべきだったと思いますね。
また、ゼットソードの秘密ははるか昔の伝説のような話だったようですから知らなかったとしてもおかしくありませんが、少なくともポタラの能力については、普段自分が身に着けているものなのですから知っているべきでしょう。
特殊能力が少ない
神や界王のようなキャラクターは実力では悟空たちに及ばなくなっていきますが、その特殊能力で悟空たちの活躍をサポートすることが多いのですが、界王神はこの特殊能力においてもイマイチな感が否めません。
たとえば神であればドラゴンボールを作る能力や体力を回復させる能力(デンデ)を持っています。
界王は宇宙のどこであっても交信をすることができるという能力をもっています。
しかもこの能力は自分の管轄外のナメック星であっても可能ですし、なんなら界王神星であっても有効という優れものです。
ところが、それらの神々の頂点に立つ界王神は、その能力を持っていません。
体力を回復させる能力や瞬間移動能力は付き人のキビトの能力であり、(後のドラゴンボール超においては界王神も瞬間移動ができる設定になっていました。)界王神はできません。
唯一持っている能力はサイコキネシスや金縛りのような超能力技でしょうか。
これはスーパーサイヤ人に変身した悟飯の動きを止めたり、魔人ブウのエネルギー波から悟飯を救ったりと自身の力以上の効果を発揮するようです。
とはいえ、当初の全宇宙の頂点に立つという肩書から考えたら、あまりにもしょぼく感じてしまうのは仕方ないかもしれませんね。
他にも相手の考えていることを読み取る能力というのもありましたね。
これはベジータに対して使っていましたが、特段その後の展開において役に立つことはありませんでしたね。
戦闘力が低い
これは前述した「悟空たちの実力を見抜けなかった」とかぶる部分もあるのですが、界王神は登場時に醸し出していた強キャラ感の割に、実際の実力は大したことがなかったというものですね。
フリーザは自己申告で「フリーザを一撃で倒せる」と豪語していましたが、それも下記の記事で眉唾物だという事を考察しています。
詳しくは上記の記事を参照してもらえればと思いますが、実際の界王神はバビディによって強化されていたとはいえ、フリーザ以下と思われるヤコンに警戒するくらいですから、実力的には大したことなかったと思われます。
東西南北の界王神と大界王との関係性
最初にも述べましたが、界王神は当初全宇宙を統べる界王の神ということで鳴り物入りで登場したのですが、後にかつて界王神は東西南北の4人いて、さらに上には大界王という存在がいたことが明らかになりました。
大界王と他の3人の界王神はかつての魔人ブウとの戦いにおいて、死亡、もしくは吸収されてしまったという事でした。
ドラゴンボール原作においては、それ以上の描写がないため、関係性が不明のままとなってしまっています。
本来であれば、このサイトでは原作のみに絞って考察をしているため、アニメ等は対象に含めないのですが、あえてドラゴンボール超も絡めて考えてみたいと思います。
界王神と破壊神の関係性
ドラゴンボール超における界王神は、12ある宇宙のひとつを任せられる存在であり、まさに宇宙を統べる神と呼びに相応しい存在です。
そして、注目すべきはドラゴンボール超から登場した破壊神の存在でしょう。
破壊神は界王神と対をなす存在で、どちらかが死ぬともう一人も死んでしまうという神様とピッコロ大魔王のような関係となっています。
ですから、本来であれば破壊神と界王神の関係性は対応であり、どちらが偉いというものではないはずなのです。
実際に第7宇宙以外の破壊神と界王神は対等の関係で会話をしているところが多いですし、どちらかというと界王神の方が格上感がある宇宙もあったくらいです。
ビルスに頭の上がらない第7宇宙の界王神
ところが、第7宇宙の悟空たちの界王神は破壊神に対してまったく頭が上がらず、「ビルス様」と敬った呼び方をしていたりと、明らかに破壊神の方が格上という描写がされています。
初めてビルスが登場したころは、破壊神のほうが立場が上の設定なのだろうという解釈ができましたが、他の宇宙の破壊神と界王神の関係性を見ると、どうやら第7宇宙が特殊な事例であるようです。
では、なぜ第7宇宙の界王神は破壊神ビルスに対して頭が上がらないのか?
その理由は2つの仮説を考察してみました。
- 第7宇宙の界王神は正式なフローで界王神になっていない
- ビルスが破壊神の中でも格が高い
第7宇宙の界王神は正式なフローで界王神になっていない?
ひとつめの仮説は、「第7宇宙の界王神は正式なフローで界王神になっていない」からというのものです。
これは第7宇宙には他の宇宙にはない大界王神という存在がいたこととも関係しているのですが、本来、大界王神こそが第7宇宙の界王神だったのではないでしょうか?
本来の第7宇宙の界王神であった大界王神は、なんらかの理由により引退をしようと考えており、その後継者として現在の界王神も含めた4人の界王神候補者を選定したのでしょう。
そして、第7宇宙を4分割して担当させて誰を後継者とするのかを判断しようとしたのかもしれません。その候補者選定の便宜上、自身は大界王神と名乗っていたということなのかもしれません。
しかし、その候補者選定の過程で魔人ブウにより、大界王神をはじめ3人の界王神が殺されてしまいます。
つまり、現在の界王神は界王神選抜試験に合格することなく界王神になったため、界王神としては未熟であるからこそ、本来であれば同格であるはずの破壊神に対して頭が上がらないのでしょう。
それであれば、界王神でありながら全王の存在を知らなかった理由にもなります。
ビルスが破壊神の中でも格が高い
正直に告白すると上記の仮説には弱点があります。
それは、現在の界王神だけではなく、15代前の老界王神までもが破壊神ビルスのことを「ビルス様」と呼び、一目置くような描写がされていることです。
現在の界王神だけであれば、上記の仮説で説明がつくのですが、老界王神までもビルスを敬っているとなると別の考え方が必要です。
そうなると、もはや「ビルスが破壊神の中でも格が高い」ということしか考えられません。
そもそも、老界王神までもがビルスを敬っているというよりも、老界王神ですらビルスの名前を認知しているという事は、逆に考えると老界王神の時代でさえ、第7宇宙の破壊神はビルスだったという事です。
破壊神と界王神の関係は基本的には対等だが、どちらが先にそのポジションについたかというのも、序列に影響を与えるということなのでしょう。
他の宇宙に大界王神の存在が確認できないことを考えれば、現在の界王神が正式なフローを経ずに界王神になったことも理由の一つとしては考えられるとは思います。
しかし、ビルス自体がかなり古い時代から破壊神だったため、そもそも破壊神の中での序列もトップクラスに高いことこそが根本的な理由だと考えた方がしっくりきますね。
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