未来トランクス世界線の人造人間は17号18号?

設定の考察
引用元 ドラゴンボール 集英社

ドラゴンボールには様々な謎や矛盾がありますが、その中でもかなり根が深い謎と言えるのが、この人造人間のナンバリング問題なのではないかと思います。

いつの間にか入れ替わった人造人間の呼称

未来からやってきたトランクスによって、3年後に訪れる悲劇とともに人造人間の脅威が知らされます。
その際に、トランクスが伝えた人造人間ナンバーは19号、20号でした。
そして、そのトランクスの言葉通り、3年後に実際に人造人間19号、20号が現れますが、それはトランクスが未来で闘っていた人造人間とは別物だということが判明します。
どうやら、トランクスがやってきた未来の人造人間19号は、現代の人造人間17号、そして人造人間20号は18号になっていて、現代の19号、20号のジジイ、デブコンビ型の人造人間は見たこともなかったようです。

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つまり、トランクスがタイムマシンで過去にやってきて、本来悟空が倒すべきだったフリーザ親子をトランクスが倒してしまったせいで、歴史が変わり、その後開発される人造人間のナンバリングにも影響を与えるというタイムパラドックスが発生してしまったわけです。
ところが、未来から再度現代にやってきたトランクスは人造人間の説明をするときに17号、18号という呼称で外見を説明しているのです。

引用元 ドラゴンボール 集英社

もし、未来の人造人間のナンバリングがずれていて、19号が17号、20号が18号に置き換わっているのであれば、この時もその前提で説明するべきですが、トランクスもなぜか17号は少年タイプ、18号は女の子タイプと認識しているのです。

さらに、悟飯が完全体のセルを倒し、トランクスは未来に帰ることになりますが、その後日談のエピソードが描かれています。
そのエピソード内で描かれている人造人間もなぜか17号、18号に置き換わってしまっていて、当初トランクスが説明をした人造人間19号、20号は完全になかったことになってしまったのです。

編集のダメ出しで人造人間の呼称が変わってしまった?

この謎はメタ視点で考察をすると大人の事情も絡んでいると思われます。
当初、人造人間は原作の初期の展開通り、19号、20号で容姿もじじい、デブタイプだったようです。
ところが、編集者から敵役として「いまいち」という指摘が入り、急遽17号、18号を登場させたという経緯があったようです。
しかし、未来世界の人造人間の呼称を19号、20号のままとしてしまうと、読者の混乱を招く可能性があるため、ストーリー的には矛盾が生じるものの分かりやすさを優先したのではないかと思います。
実際、しっかりとドラゴンボールを読み込んで、過去のセリフを把握している読者でない限りは気づかないような矛盾ですし、ドラゴンボールのメインの読者層が小学生、中学生だったことも考えると仕方ないことかと思われます。

とまあ、憶測ではあるものの未来トランクス世界線の人造人間編のナンバリングが置き換わってしまった理由については説明はできるものの、すっきりとした解明ではありません。
このブログは論理的考察をモットーとしていますので、この謎についてもできる限り、論理的に筋の通った解釈でこの謎を解明していきたいと思います。

ドラゴンボールにおけるタイムパラドックス

まず、ドラゴンボールにおけるタイムパラドックスの考え方を整理したいと思います。
タイムパラドックスとはタイムマシンなどで時間軸をさかのぼって過去を改変した際に起こる因果律の矛盾のことですが、タイムトラベル物を扱う作品においてタイムパラドックスは必ずと言っていいほどでてくる概念です。

そして、作品ごとにこの因果律の矛盾を解消する様々なアイデアが考えられています。
ここではそのひとつひとつを検証はしませんが、ドラゴンボールにおいては、その一つである並行世界概念を取り入れているようです。

平行世界概念とは、過去に戻って歴史を改変した際に未来がそのまま書き換わるのではなく、その時を起点としてもうひとつの世界線が誕生するというものです。
原作内でも説明がされていますが、簡単に言うと未来から来たトランクスが仮に人造人間を倒したとしても、トランクスがいた未来の人造人間はそのまま存在し続けるし、特効薬によって助かった悟空もやはり死んだままになるということです。

つまり、トランクスが悟空に心臓病の特効薬を渡した時点で、もうひとつの世界線が誕生していたことになります。
より正確に言うと、トランクスが未来からやってくる1年前にセルが未来からやってきた時点で別の世界線ができていた可能性があります。
そこにさらにトランクスが関与したことで世界線が分岐したとすると、3つの世界線があったことになります。

ドラゴンボールのタイムパラドックスは、このように複雑な世界観になっているという事を理解した上で、本考察を読み進めてもらえればと思います。

一度目と二度目のトランクスは、別の世界線からやってきた?

結論から先に言ってしまうと、トランクスが認識している人造人間のナンバーが置き換わってしまった理由は、このタイムパラドックスに起因するのではないかと思います。
最初に未来からやってきたトランクスは人造人間を19号、20号と呼称していましたが、次にやってきた時には本編世界と同様に17号、18号という認識に変わっていました。

つまりこれは、一度目と二度目にやってきたトランクスは、別々の世界線からやってきたのではないでしょうか?
一度目にやってきたトランクスの未来では、少年タイプ、女の子タイプの人造人間は19号、20号と呼ばれていたが、二度目にやってきたトランクスの未来では本編世界と同様に17号、18号だったということです。
そう考えれば、矛盾が矛盾でなくなります。

では、なぜ一度目と二度目では別々のトランクスがやってきたのか?
それに答えるための原作内に明確な根拠は提示されていません。
しかし、ドラゴンボールのタイムパラドックス理論は未来からのほんのちょっとした干渉がきっかけで世界線が分岐してしまう事が分かっています。
であれば、その複数に分岐した世界線のひとつは少年少女タイプの人造人間19号、20号だがもうひとつの世界線では人造人間17号、18号だということでしょう。
簡単にまとめると以下のような分類になります。

世界線A:一度目にやってきたトランクスがいる世界線。少年少女タイプの人造人間は19号、20号
世界線B:二度目にやってきたトランクスがいる世界線。少年少女タイプの人造人間は17号、18号
世界線C:ドラゴンボールの物語の展開上の世界線。少年少女タイプの人造人間は17号、18号

世界線Bはおそらくセルが未来からきた時点で世界線Aと分岐したはずです。
では世界線Cはいつ分かれたのか?これはトランクスが未来からやってきて、フリーザ親子を倒したり、悟空に心臓病を渡した時点で別れたのでしょう。
そして、何らかの理由により世界線Cに、二度目のトランクスは世界線Bからやってきた。そのため、そのトランクスが認識してる少年少女タイプの人造人間は19号、20号から17号、18号に変わってしまっていたということですね。

では、世界線Aのトランクスはどうなってしまったのか?
一度未来に帰った後、原作とは別の世界線の悟空たちのところに行ったのか?
もしくは、この世界線Aのトランクスが未来でセルに殺され、そしてセルは未来から過去に戻ったという考えもできるかと思います。
しかし、この考えだと世界線Aのトランクスは少年少女タイプの人造人間を19号、20号と認識していたのに、セルは17号、18号とはっきり口にしていましたので、矛盾が生じてしまいます。

引用元 ドラゴンボール 集英社

とすると、もうひとつの世界線Xが存在していることになります。
この世界線Xがすべての元になった世界線なのか?それともいずれかから分岐した世界線なのか?
これだけでも一つの考察になると思いますので、別の機会にやりたいと思います。

追記:下記の記事でドラゴンボール世界のタイムパラドックスについて詳細に考察していますので、興味のある方は是非ご一読ください。

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