前話“其之十八「D.B.奪われる!!」”で、悟空・ブルマ・ウーロンはピラフ一味の急襲を受け、ホイポイカプセルごと移動手段を奪われた上に、ピラフ城へおびき込まれて罠で捕縛される。ここまでで敵側の「観測→奇襲→機動力剥奪」という合理的な段取りが提示され、主導権は完全にピラフへ。
本話冒頭、監視カメラ越しに一行を眺めるピラフは、残る最後のドラゴンボール(悟空が肌身離さず持つ四星球)の在処を引き出そうと、エッチ攻撃作戦や催眠ガスなど、腕力ではない“科学力”で攻める結果的に悟空の四星球も奪取され、七つが揃う。
ピラフは中庭へドラゴンボールを運び、古い言葉で召喚の呪を発すると、七珠が青白い光を放ち、夜空へと柱のような閃光が立ち上がる。
神龍が姿を現す——という壮大な引きで幕。続く“其之二十「神龍への願い!!」”で、いよいよ「7つすべてが揃うと願いがかなう」というドラゴンボールの伏線が回収されることになります。
マイのアラレちゃんネタ
この回でまず押さえておきたいのは、ピラフ城の監視室で残り1個のドラゴンボールの所在を探っている場面です。
モニター越しに悟空たちを見張る中、マイが「あの男のマタのあいだにあったりして」と下ネタ気味に推測します。ここでピラフが烈火のごとく反応し、「わたしが品のないギャグはきらいだと知っているはず」だと叱責します。
さらに「せっかく作者がこのマンガだけは上品にせめてみたいという気持ちがわらからんか!」というセリフのシーンで、マイがデフォルメうんこを手に持っているシーンが差し挟まれます。

これは、鳥山明先生の作品「Dr.スランプ(アラレちゃん)」のセルフオマージュになっています。
この頃は、こういったメタギャグも多かったですね。
ハナクソの秘密をそっとはなくそう
次のポイントは、ヤムチャの渾身のギャグ「ハナクソの秘密をそっとはなくそう」でしょう。
監禁下のやり取りの最中、ヤムチャが突然披露するというダジャレをぽろりと口にします。もちろん状況は深刻ですし、大爆笑が起きるわけではありません。むしろ“微妙な間”が流れます。
ですが、この一瞬の緩みが効きます。読んでいる側の肩から力が抜け、ページのリズムが自然に整うからです。

直後には「かめはめ波」や“外への偵察”といった実務的な動きが続くため、ここで一回、緊張をフラットに戻しておくと、次の行動がスッと頭に入ります。
さらに、このギャグは後に界王星でヤムチャや天津飯たちが、界王様に修行をつけてもらうために、「界王をギャグで笑わせる」という試験を受ける際に、天津飯に対してとっておきのギャグとして指南するシーンでも出てきます。
このギャグにより、天津飯は試験を突破することになるのですが、悟空の「ふとんはふっとんだ」で笑ったりと、結構界王様の笑いのツボはヤムチャと近いものがあるのかもしれません。
うぶなピラフと耳年増なブルマ
もうひとつの見どころは、ピラフがブルマに向けて“エッチ攻撃”を仕掛けるてドラゴンボールのありかを聞き出そうとするくだりです。
監視室にブルマを引き込み、「恥ずかしい目にあわせる」とおどしてから、投げキッスをします。
ところが、ブルマはまるで動じません。むしろ冷静に見下ろし、「もっとエッチなこと(へろへろ、ぱふぱふ、きょいきょい、いんぐりもんぐり)でもされるかと思った」などと、昭和のおやじを連想させる(実際に昭和のマンガですが)ような卑猥な言葉を発して、ピラフをドンびかせます。
ここは、うぶなピラフと耳年増なブルマの対比がギャップを生み出していて、おもしろいですね。

現在の感覚で読むと、ピラフ側のからかいは「露骨で不快」と受け止められかねませんが、作品内では完全にギャグの文法で処理され、ブルマが言い負かして勝つ形で落とされています。
だからイヤな余韻を引きずらず、ピラフの浅さと、ブルマの強さだけが印象に残る構図になっています。のちのブルマの図太さの萌芽が、すでにここに見えますし、悟空含む仲間の前でずけずけとあけすけにものをいうキャラとして確立するシーンでもあります。
神龍あらわる
そして、この回のラストはピラフの合言葉「出でよドラゴン!!そして願いをかなえたまえ!!!」とともに、実際に神龍が姿を現すシーンで幕を引きます。
なんとなく、合言葉は「出でよ神龍」のイメージがありますが、初出では「ドラゴン」だったのですね。ちょっと意外でした。
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