ドラゴンボールでよくネタにされる話題として、悟飯のナメプ癖があります。
セル編ではスーパーサイヤ人2に覚醒し、いつでもセルを倒せる状態でありながら、悟空の忠告を無視して結果的に悟空を死なせることになってしまいました。
魔人ブウ編でもアルティメット状態でブウを圧倒しておきながら、ピッコロとゴテンクスを吸収したブウに逆転されてしまいます。
どちらも倒そうと思えばいつでも倒せる状態であったのに、本人が相手より優位な状態を楽しみたいというおごりや油断から状況を悪化させる結果となっています。
そんな悟飯のナメプ癖ですが、実は父親である悟空からの遺伝である可能性が高いのです。
悟空の場合、悟飯ほどネタにされることは少ないのですが、子どもの頃からわざと敵の攻撃をうけたり、手を抜いた結果ピンチになったりと息子顔負けのナメプ癖を発揮しています。
この記事では悟空に焦点を当て、悟空がどのようなナメプを行ってきたのかを考察していきたいと思います。
また、本来であればこのブログでは原作を中心に考察を行っていますが、アニメシーンとの比較考察も行っていきたいと思います。
桃白白戦
明確に悟空が相手に対してナメプをしていることが確認できるのは、おそらくこの桃白白戦ではないかと思います。
桃白白との初戦では完膚なきまでに敗北した悟空でしたが、カリン塔にのぼって修業をすることで桃白白以上の強さになって再戦を挑みます。
この時に自分が桃白白より強くなったことに気をよくしたのか、悟空は桃白白の攻撃をあえて受け続けるというナメプを行います。
当初悟空の方が有利に戦いを進めていたはずなのに、突然一方的にやられだす悟空にウパが心配するくらいです。
アニメでも景気よくボコスカ殴られていました。この時に悟空のナメプ癖が目覚めたのかもしませんね。
この後、悟空は地上にたたきつけられ、空中からひざげりを食らいます。
しかし、悟空はけろっとした顔で起き上がります。こんな攻撃をくらってよく死ななかったものです。
ミイラくん戦
さて次のナメプは占いババの館でのミイラくん戦です。
この時も悟空はミイラくんの攻撃を一方的に受けるというナメプを行っています。
この試合は悪魔の便所と呼ばれる硫酸の海のような会場に配置された悪魔の形をした石像のベロの上で戦っていましたが、一歩間違えれば蹴り飛ばされたときに硫酸の海に落ちていてもおかしくありませんでした。
実際にはミイラくんも相手を殺すつもりはないので、石像にぶつかってベロの上に倒れるだけでしたが、悟空からしたらそんな保証がありません。そのまま悪魔の便所に突き落とされていてもおかしくありませんでした。
下手をしたら命を落とす危険性も顧みず、ナメプをするのは勇気があるというのか命知らずというのか。。
さらにアニメ版では、ミイラくんが包帯で悟空を縛り付け、悟空を苦しめるアニオリが追加されていました。
これも悟空がナメプなどせずに、ミイラくんをあっさりと倒せていたことを考えれば、悟空のナメプ癖が招いたピンチと言えるでしょう。
クリリン戦
悟空は第22回天下一武道会の準決勝戦でクリリンと対戦していますが、この時にもナメプをしています。
しかも、試合開始前にクリリンから「手抜きで闘ったりしやがったら、オレは一生うらむ」と言われて、本気で闘うことを約束しながらの行為ですから、クリリンからしたら屈辱以外の何物でもないでしょう。
とはいえ、これは悟空側にも言い分があって、この時点で悟空とクリリンの実力差は圧倒的に開いており、本気モードである「戦闘パワー」を使用して闘うとクリリンが死んでしまうため、悟空はあえて力をセーブした「試合用のパワー」で闘っていたのでした。
つまり、悟空は「試合用のパワー」でクリリンと本気で闘っていたということです。物は言いようですが、タンバリンにあっさりと殺されたクリリンですから、悟空の「戦闘パワー」とまともに闘えるはずもなく、こればかりは仕方のないことかもしれません。
さて、そんなナメプした状態の悟空との対戦でしたが、それでも悟空優勢の闘いでした。
しかし、クリリンも意地を見せて、悟空に何度か攻撃をヒットさせていました。
フェイントや目くらましによるトリッキーな攻撃ですが、クリリンらしい戦法でしたね。
しかし、善戦はしたものの最後は悟空の消える技により、あっさりと敗れてしまいました。
天津飯戦(第22回天下一武道会)
さて、お次は第22回天下一武道会決勝の天津飯戦です。
この戦いの考察は長くなります。
というのも、悟空のナメプ戦闘の中でも最も謎が多く、複雑な構造となっているからです。
そのため、補足資料としてアニメ版のシーンも参考に考察をしていきたいと思います。
クリリン戦で張られていた伏線回収
悟空はクリリン戦から引き続いて「試合用のパワー」で天津飯と闘いを開始するのですが、天津飯はこれまでの試合で悟空の戦法をすべて見切っており、一方的に悟空を追い詰めます。
試合開始直後、最初の一撃は悟空が天津飯にヒットさせるものの空中に回避した天津飯を追撃しようと不用意に飛び上がった悟空に対して、天津飯はどどん破を悟空に浴びせ、悟空はそのまま武舞台に激突します。
クリリン戦でも同じように空中にいるクリリンに対して悟空が飛び上がって攻撃をしかける展開がありましたが、その時は飛び上がって攻撃した悟空が有利というアナウンスがされていました。
しかし、クリリン戦を見ていた天津飯は冷静に対処し、逆に悟空をどどん破で撃ち落としています。
アニメ版では観戦していた亀仙人が不用意に飛び上がった悟空に「いかん!」と叫んでいました。
どどん破をまともにくらったものの悟空はすぐに地中から飛び出し、天津飯に向かっていきます。
そして、クリリン戦で披露した消える技を使いますが、これも天津飯にすでに見切られており、居場所を見つけられた悟空は痛烈な一撃を食らってしまいます。
ストーリー構成として面白いのは、前回のクリリン戦で、消える技を見せた際の天津飯のモノローグが、今回この技を見切る展開の伏線になっているところでしょう。
前話で誰もが悟空が姿を消したことに驚愕している中、天津飯だけは悟空の動きが見えていたのですが、この時は悟空の実力を認めるシーンとして描かれていました。
ですが、冷静に考えれば、天津飯は悟空の動きを完ぺきにとらえていたわけですから、悟空のことは認めつつも、この技を「そんなこどもだまし」と評するのも理解できます。
もしかしたら、内心では次にこの技を使ってきたら、一気に勝負を決めるイメージができていたのかもしれません。
だからこそ天津飯も前話の最後で、「やつとなら少しは楽しい勝負ができそうだ」と余裕の表情をうかべていたのでしょう。
つまり、思ったよりはできるが、あの程度の動きなら自分の敵ではないという確信があったのだと思われます。
テンカウント負けやレフェリーストップにならないのはなぜ?
そして、その後、天津飯の一方的な猛攻撃が始まります。
まず、天津飯に技を見切られた悟空は武舞台の壁に向かって弾き飛ばされます。
武舞台の四方の3/4は場外なわけですから都合よく壁側に吹き飛んだものだという突っ込みもありますが、これは天津飯がコントロールして壁に向かって弾き飛ばしたのでしょう。
この時点の天津飯の目的は武道会での優勝ではなく悟空を殺すことですから、場外に落として勝っても楽しくないはずです。
壁に悟空を吹き飛ばした後、天津飯は悟空を追尾します。
そして悟空が壁に激突する瞬間に肘うちで悟空を壁にたたきつけます。
クリリンも悟空をフェイント攻撃で壁に蹴り飛ばした後、追撃をしようとしましたが、攻撃が当たる前に体勢を立て直されてしまいました。
天津飯の場合、悟空が体勢を立て直す前に追撃をくらわしていますので、この俊敏さこそが天津飯の強さなのでしょうね。
悟空を壁に叩きつけた後も、天津飯は攻撃の手を休めません。
ここから、知る人ぞ知る天津飯の必殺技、マシンガン拳による怒涛の連続攻撃が始まります。
悟空を壁に張り付けにした状態で、連続の突きをくらわせます。
そのすさまじい攻撃の前に、悟空は回避も防御もできず、なすすべなく攻撃を受け続けます。
マンガではたった一コマのシーンですが、亀仙人が「まるでマシンガン」と評するくらいですから、相当激しい攻撃なのでしょう。
このあたりはアニメ版では、中鶴勝祥氏による気合の入った作画でマンガ版では表現しきれなかった天津飯の攻撃の激しさが見事に再現されていました。
ここで疑問なのは、これほど一方的な展開になっているのに、なぜ審判は試合を止めないのか?ということですね。
天下一武道会では対戦相手を殺してしまうと失格になりますが、戦闘中はお互い熱くなっていますので、このような一方的な試合展開になったら選手の安全を考えて、試合をストップさせるべきなんじゃないかとは思いますね。
ブウ編のビーデル対スポポビッチ戦でもそうでしたが、天下一武道会ではどちらかが降参をしない限り、試合が続行されるルールになっているのかもしれませんが、この時の悟空は降参の意思を示すことができない状態で攻撃を受け続けていますからね。
悟空を一方的に攻撃をした後、天津飯はとどめの一撃とばかりに、悟空を壁から叩き落します。
この両手を組んで殴りつける攻撃って、ベジータがよくやるイメージがありますが、実はドラゴンボールで最初に使用したのは天津飯なんですよね。
しかし、この天津飯の攻撃の次のコマで、突然悟空がぐったりした状態で宙吊りにされているシーンに変わってしまうため、間に何があったのか分かりにくくなっています。
ページ数の都合だったのでしょうが、ちょっと不自然な展開になってしまっていますね。
このあたりも、アニメ版では丁寧に描かれていました。
どうやら、悟空は壁から叩き落された後、地面に転がりながらダウンしていたようです。
ダウンしているところを天津飯によって拾い上げられ、中吊り状態にされています。
ここで疑問なのは、この状態はダウンではないのか?倒れているのに無理やり拾い上げて宙吊りにしたら、ダウンは解除されるのか?ということです。
アニメ版では、悟空が地面に大の字に横たわった状態から天津飯が拾い上げるまで、余裕で10秒以上は経っています。
審判がしっかりとカウントしていたら、この時点で悟空の負けが決まっていたはずですし、何よりどう見ても悟空は気絶しているようにしか見えません。
対戦相手が戦闘不能になった状態でさらに攻撃を続けるというのは、明らかに天下一武道会のルールに反しているように思えますね。
実際、これまでの試合でも選手が明らかに気を失っている場合、審判が駆け寄って確認し、試合終了を宣言していました。
さて、アニメと言えばこの回で興味深いのは、ストーリー構成ですね。
実は試合が始まってから、悟空が天津飯によって宙吊りにされるシーンまで、わずか3分程度しかたっていません。マンガと同様にラストシーンは悟空が宙吊りにされているシーンです。
(この体勢で顔が真下に向いているのは人体の構造上ありえないと思いますが、天津飯の勝ち誇った顔と悟空のぐったりと力尽きた表情との対比で、悟空が試合開始早々なすすべなくやられてしまういう衝撃の展開の演出になっていますね。)
アニメの一話はCMシーンを除いても25分近くはあります。
アニメでもクリリン戦は前話で終了していますので、試合シーンの3分以外はいわゆるアニオリで引き延ばしたことになります。
通常アニオリは戦闘シーンで両者の攻防を引き延ばしたりすることが多いのですが、この天津飯戦では原作の描写を忠実に再現したため、わずか3分にしかならず、それ以外は試合前の天津飯の葛藤や悟空たちの様子を描いていました。
これはおそらく、下手に悟空と天津飯の攻防を追加してしまうと、試合開始早々に悟空がピンチになるという衝撃が薄れてしまうのと、悟空がまだ本気を出しておらずナメプをしていたという展開につなげにくいという判断があったのだと思われます。
排球拳をおとなしく食らう悟空
前述したように実は悟空はまだ本気を出していない状態でした。
この後、悟空は天津飯の排球拳をまともにくらい、悟空は死んだと思われましたが、ほとんどダメージを受けておらず、あっさりと立ち上がります。
つまり、悟空はこれまでわざとやられているふりをしていた事になります。
試合開始直後に試合用パワーで闘い、天津飯に技を見切られ、連続攻撃を食らうところまでは仕方ないでしょう。しかし、その後、ダウンしたり宙吊りにされたまま、ぐったりと無抵抗状態のままでいる必要はまったくありません。
アニメ版では、どう見ても、とても演技には思えませんね。
また、天津飯が排球拳を使うシーンは、その独特な掛け声やポーズなど、天津飯のキャラ崩壊シーンばかりがネタとして話題になりますが、悟空もまるでバレーボールの球のように扱われるなど、結構無様な姿をさらしています。
この時、悟空はいつでも起き上がれる状態だったはずですが、どのような気持ちで天津飯の攻撃を受けていたのでしょうね。
もはやナメプ癖を超えて、攻撃を受けることに快楽を感じているとしか思えません。
天津飯戦(第23回天下一武道会)
悟空と天津飯は第23回の天下一武道会でも対戦しています。
この時は準決勝であたっていますが、またまた悟空のナメプ癖がさく裂していました。
なんと悟空は両手足、身体に各20kg以上の重りを身に着けて闘っていたのです。
しかし、この状態ではスピードが抑えられてしまい、天津飯の方が優勢だったため、ようやく重りを外しました。
重りを外した悟空はスピードでも天津飯を圧倒します。
しかし、悟空はここでも天津飯の道着の帯を外すというナメプ癖を発揮します。
重りを外したことで、その気になれば一瞬で勝負をつけることもできたはずなのですが、余裕をかまして天津飯に対して優越感を感じていたら、四身の拳で思わぬ反撃にあってしまいます。
しかし、天津飯も実力差を見せつけられながらも、豊富な技を駆使して悟空に一矢を報いるところはさすがと言わざるを得ませんね。
マジュニア(ピッコロ)戦
悟空はなんとマジュニア戦でもナメプを行います。
さすがに天津飯戦で重い道着は脱ぎ捨てていますが、それでも開始早々はウォーミングアップのつもりなのか、本気を出さずにいたらこの有様です。
しかも、空中にいる相手に対して不用意に飛び上がったところを撃墜されるのは、第22回天下一武道会決勝の天津飯戦でも同じ失態をやらかしています。
さらによくないのが、その後、すぐに起き上がらずにやられたふりをしていたことです。
ピッコロも「しらじらしいマネはよせ」と言ってくれましたが、ここからさらにとどめの追撃をくらわしてくる可能性もあったわけで、本気の死闘であれば敵に隙を見せたまま倒れたままでいるなんてありえないはずです。
こういう悟空の油断から、闘いの終盤でピッコロの口から怪光線により身体を貫かれてしまう事になります。
これも勝利を確信した悟空の一瞬の油断の隙から招いたピンチですから、一種のナメプと言えるでしょうね。
しかし、このシーンはこれまでのドラゴンボール、特に天下一武道会の試合ではないような容赦ない展開でしたね。
勝負は最後の最後まで油断してはダメということを教えてくれるいい教訓だったと思います。
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