ドラゴンボール 第21話のあらすじ考察「満月」

ストーリー
引用元 ドラゴンボール 集英社

「ギャルのパンティおくれーーーっ!!!」というウーロンの機転(?)を利かせた叫びによって、ピラフの野望が打ち砕かれた前回。

続く第21話「満月」は、初期ドラゴンボールにおける最大の「謎」が明かされる、まさに物語の転換点とも言えるエピソードです。

今回はあらすじを追いながら、悟空の「大猿化」という衝撃的な展開と、後のサイヤ人編につながる伏線について深く考察していきたいと思います。

其之二十一「満月」のあらすじ

神龍によって願いが叶えられた直後、ドラゴンボールは石となって四方八方へと飛び散っていきました。願いを横取りされ、激昂したピラフは、悟空たちを壁の厚さが300ミリもある頑丈な鋼鉄製の牢屋に閉じ込めます。

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さらに、その部屋の天井は強化ガラスになっており、そこから差し込む強烈な太陽光で、夜が明けたら悟空たちを蒸し焼きにしてしまおうという、ピラフらしい陰湿な拷問が待ち受けています。

脱出を試みる悟空たちですが、かめはめ波でもびくともしない壁に絶望感が漂います。そんな中、プーアルが夜空に浮かぶ満月を見上げています。
本人は「死ぬまえにきれいなものを見ておく」とすでに死を覚悟しているのか、縁起でもないことを言い出します。

そんな中、悟空の口からふいに出た昔話から物語は大きく動き出すことになります。

「じいちゃん(孫悟飯)は、満月の夜に出る怪物に踏み殺された」
「じいちゃんに満月を見てはいけないと言われていた」

不穏な空気を感じ取ったブルマたちが孫悟飯が怪物に殺された夜に「満月を見たか」と尋ねると、悟空はと「見てしまった」と答えます。ブルマは反射的に「満月を見ちゃだめよ!」と叫びますが、時すでに遅し。

満月を見た瞬間こそ何も起こらなかったもののブルマたちが安心した直後、悟空心音は激しく脈打ちだします。

引用元 ドラゴンボール 集英社

やがて体毛が逆立ち、体躯は牢獄の天井を突き破るほどに膨れ上がっていきます。理性を失い、金色の瞳を光らせた「巨大な猿」へと変貌した悟空。

ピラフ城という文明の要塞が、ただの「獣」の咆哮と一振りによって、文字通り瓦解し始める――という、圧倒的絶望感の中で物語は幕を閉じます。

引用元 ドラゴンボール 集英社

サイヤ人設定の伏線

この第21話には、後の「サイヤ人編」においてラディッツやベジータが語る設定の根幹が、驚くほど高密度に詰め込まれています。

後にサイヤ人編で明かされる通り、サイヤ人は満月(1700万ゼノ以上のブルーツ波)を見ることで、戦闘力を10倍に跳ね上げる「大猿」へと変身します。

この第21話の時点では、読者はこれを「ファンタジー的な呪い」や「妖怪の類」として受け止めていました。しかし、描写を細かく見ると、作者はこれを「生物学的な変異」として描いていることがわかります。

  • 心拍数の急激な上昇(心臓のポンプ機能の強化)
  • 骨格と筋肉の急膨張
  • 理性の喪失(下級戦士特有の性質)

これらは、後にベジータやラディッツによって、地球襲来時にはじめて明文化された設定ですが、この21話時点で伏線として演出されているのには驚きです。

もちろん、この時点では後のサイヤ人編のストーリーについては、まったく構想外であったはずなので、単に過去の設定を後付けで活かしただけともいえるでしょう。
ただ、もしかしたら、この設定を後に悟空の生い立ちの秘密として何らかの形で活かそうとはしていたかもしれませんね。

「孫悟飯の死」に隠された残酷な真実

本話で語られた「孫悟飯は怪物に踏み殺された」というエピソード。 これこそが、ドラゴンボールという物語において最も切なく、かつ残酷な伏線です。

悟空は自分が「育ての親」を殺した張本人であるという自覚が一切ありません。この無邪気な残酷さは、サイヤ人という種族が持つ「侵略者としての素質」を象徴しています。

後にベジータ戦で、悟空は大猿になったベジータを見て初めて「あの時の怪物は自分だったのか」と悟ることになりますが、その衝撃の出発点がこの第21話にあります。

育ての親を殺した力を、後に「仲間を守るための力」へと変えていく悟空の歩みを考えると、この回の持つ意味はあまりに重いといえるでしょう。

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