サイヤ人の死にかけパワーアップは自分で自分を傷つけても効果がないというのは本当なのか?

設定の考察
引用元 ドラゴンボール 集英社

大猿化と並ぶサイヤ人のチート能力と言えば、死の淵から生還した際に大きくパワーアップするという能力でしょう。
人造人間編以降はあまりこの能力が注目を浴びることはありませんでしたが、ナメック星編、特にフリーザ戦においては切り札的な使い方がされていました。
結果的には死にかけパワーアップによってフリーザを倒すことはできませんでしたが、ベジータはこの能力によってキュイ、ドドリア、変身ザーボン、ジースを破っているのですから、ストーリー展開に大きく影響を与えたことは間違いありません。

死にかけパワーアップをするための条件

闘う相手側からしたら自分の方が強かったにも関わらず、とどめを差さずに回復されただけで、自分を上回る戦闘力を身につけられてしまうのですから、たまったものではないでしょうね。
そんなある意味反則技とも言える能力なのですが、いつでも自由にこの能力を使って戦闘力を高めることができるかというと、そんなに甘くはないようです。

その条件というのは、以下のベジータのセリフです。

引用元 ドラゴンボール 集英社

どうやら、死にかけパワーアップ能力の効果を得るためには、自分で自分を攻撃しても意味がいないようなのです。
確かに自分で自分を攻撃して、回復することでいくらでも強くなれるなら、さすがに都合がよすぎるというものです。
このくらいの制約があってしかるべきかもしれません。

悟空は自分自身を攻撃していたのになぜパワーアップしたのか?

しかし、このベジータのセリフに合致しない事象がドラゴンボール原作の中にはあるのです。
悟空は100倍重力修行をしながらナメック星に向かっている時に自分自身を攻撃して痛めつけ、死にかけた状態から仙豆によって回復することで大きくパワーアップすることを繰り返していたようなのです。

引用元 ドラゴンボール 集英社

これは、完全に前述のベジータのセリフと矛盾します。
悟空の自分自身を攻撃することによる死にかけパワーアップは、キャラクターのセリフではなく、ナレーションによって言及されているため、悟空の勘違いや間違いなどは考えられません。
ということは、ベジータの認識が間違っていたのでしょうか?
もちろんその解釈でもいいのですが、ベジータの認識とナレーションのどちらも間違っていないという解釈もできます。

悟空の死にかけパワーアップは例外だった

まず、ベジータの認識は間違っていないと仮定します。
つまり、死にかけパワーアップをするためには、自分自身を攻撃して死にかけても意味がない。
あくまで、他人の攻撃によって死にかけないとパワーアップはしないという事です。

この前提と悟空の修業による死にかけパワーアップが両立するためには、どのように考えればいいでしょうか?
そもそも、ベジータのセリフと悟空の修業の内容の違いは何でしょうか?
その謎を解くカギはやはり、原作内の悟空の修業シーンにあります。

引用元 ドラゴンボール 集英社

悟空の修業は「鬼気迫る」ほどのもので、「不眠不休」で「自らを痛めつけ」ていたと説明されています。
ということは、自分で自分を攻撃していた事実に変わりはないものの、その内容は実践に限りなく近いものであり、肉体は他者からの攻撃だと感じていたのではないでしょうか?

つまり、「自分で自分を攻撃しても意味がない」というのは、あくまで死にかけパワーアップの一般的にサイヤ人に知られている知識であって、例外があるという事なのだろうと思います。
その例外がまさにこの悟空の修業のように肉体が他者からの攻撃だと判断をしてしまうほどの鬼気迫る修業をした場合でしょう。

そもそも、死にかけパワーアップにおいて、自分自身で攻撃をしたか、他者から攻撃をうけたかというのは、誰か第三者が客観的に判断してくれるものではありません。
あくまでサイヤ人の肉体の作用なのですからプラシーボ効果のように体に錯覚をさせたり、同様の効果を及ぼすという事はありえないことではないはずです。

サイヤ人同士で死にかけパワーアップはできる?

これまでの考察によって、死にかけパワーアップの仕組みについては解明できましたが、最後に別の視点で死にかけパワーアップについて考えてみたいと思います。

基本的に死にかけパワーアップは、自分自身で攻撃をしても意味がいないという事は確かのようです。
ですが、クリリンがベジータを攻撃して、パワーアップした際のように他者からの攻撃であれば、それがわざと相手の攻撃をくらっても問題ないようです。
ということは、サイヤ人同士で攻撃をし合えば、いくらでも死にかけパワーアップをすることができるのではないでしょうか?

おそらく、これは理屈の上での回答はイエスでしょう。
しかし、実際にこれが成立するためには、心理的なハードルと物理的なハードルが存在しています。
まず、心理的ハードルは、いくらパワーアップをするためとはいえ、実際に死にかけないといけないこと。
そして、死にかけるというギリギリの状態にならないといけないのですから手加減を誤ってしまって本当に死んでしまったら意味がありません。
双方に相当の信頼関係や覚悟がないとできるものではないでしょう。

そして、物理的なハードルはなんといっても回復手段です。
死にかけてパワーアップするまでが目的ですから自然治癒に頼るわけにはいきません。
必然的にメディカルマシーンを使う事になるはずです。
ということは、メディカルマシーンを自由に使える環境でないとできないわけですが、惑星フリーザならともかく惑星ベジータに一般兵が自由に使えるような設備があったかどうかは定かではありません。
また、フリーザはサイヤ人の死にかけパワーアップの能力を知っていたようですから、あえてサイヤ人にはそのような設備を使わせていなかったという事も考えられますね。

いずれにしろ、死にかけパワーアップというのは非常に優れた能力ではあるものの、自由にその力を発揮するというわけにはいかなかったのだと思われます。

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