「かつて王様になった男」は、ドラゴンレーダーなしで、どうやってドラゴンボールを集めたのか?

設定の考察
引用元 ドラゴンボール 集英社

今回のテーマは、シリーズの根幹でありながら、意外と誰も真剣に考えてこなかった疑問です。
かつてドラゴンボールで願いをかなえた人たちは、ドラゴンレーダーなしで、どうやってドラゴンボールを集めたのか?」

ご存じの通り、ドラゴンボールは一度願いを叶えると、地球の隅々に散らばってしまいます。しかも散らばった直後の1年間はただの石ころと化してしまうため、探知はおろか、見た目での判別すら不可能になります。

ブルマが発明したドラゴンレーダーがあってさえ、初期の悟空たちは砂漠を越え、フライパン山の炎に阻まれ、時には海賊の財宝洞窟にまで潜って、命がけの冒険を強いられました。レーダーで「どこにあるか」が分かっていても、あの苦労なのです。

では、レーダーが存在しなかった時代、ドラゴンボールを7つ集めることなど、そもそも可能だったのでしょうか?
「不可能に決まっている」と思う人も多いでしょう。ところが、原作第1話でブルマはこう語っています。昔、ドラゴンボールをすべて集めて王様になった人がいる、と。つまり、レーダーなしでの7つ収集は、少なくとも一度は達成されているのです。

引用元 ドラゴンボール 集英社

はたして、その人物はどのようにしてドラゴンボールを集めたのか? 今回はこの謎を、複数の仮説を立てながら徹底的に考察していきたいと思います。あわせて後半では、レーダー開発者として確認されている3者(ブルマ・ピラフ・レッドリボン軍)の技術力比較も行います。

そもそもレーダーなしの収集は、どれくらい難しいのか?

考察の前に、まず「難易度」を整理しておきましょう。
ドラゴンボールの直径は、初期の描写を見る限り、手のひらに乗る野球ボール程度の大きさです。これが地球全体に散らばるわけですから、単純な物量作戦、つまり「地球中を歩き回って探す」というアプローチは論外です。人間ひとりの一生をかけても、地表のごく一部しか調べられません。

しかも厄介なことに、願いを叶えた直後の1年間は石になってしまいます。仮に散らばった直後のボールが目の前に落ちてきたとしても、それがドラゴンボールだと気づける人はまずいないでしょう。

引用元 ドラゴンボール 集英社

ではなぜ、収集は「不可能」ではなかったのか?
ここで注目すべきは、原作序盤で7つのボールがどのような状態で見つかったかです。

  • 悟空の四星球 → 孫悟飯じいさんの形見として大切に保管
  • ブルマの最初のボール → 自宅の物置で偶然発見
  • 三星球 → 亀仙人が所持
  • 六星球 → ウーロンに襲われていた村の老婆が、家宝のように保管
  • 七星球 → フライパン山の牛魔王が所持
  • 一星球 → ピラフが(おそらく長年かけて)確保済み

お気づきでしょうか。7つのうちの大半が、「野ざらしで転がっていた」のではなく、「誰かの手元に、価値あるものとして保管されていた」のです。

これは偶然ではないと私は考えています。ドラゴンボールは美しく輝く球体で、星のマークが刻まれた、明らかに人工物めいた外見をしています。石化が解けてから何年、何十年と経てば、その多くは誰かに拾われ、「きれいな玉」「縁起物」「ご神体」として人の手に渡り、保管されるのが自然な流れです。

つまり、ドラゴンボール収集とは「地球全土から球を探す作業」ではなく、「球を保管している人間を探す作業」に変換できるのです。
これが、レーダーなし収集を「至難だが不可能ではない」レベルに引き下げる最大のポイントです。この前提に立って、王様になった男の収集方法を3つの仮説で考えてみましょう。

情報網収集説 ~「光る玉の噂」を追いかける~

一つ目の仮説は、各地の伝承や噂を頼りに、ボールの所在情報を集めていったというものです。
先ほど述べたように、ドラゴンボールは目立ちます。夜に淡く輝き、星の模様が刻まれた不思議な玉。こんなものが村にあれば、必ず噂になります。
「あの家には不思議な光る玉がある」「あの山の祠には星の玉が祀られている」──こうした話は、行商人や旅人の口を通じて、周辺地域に広がっていくはずです。

実際、原作でも牛魔王や亀仙人といった「その地域の有名人」がボールを持っていました。ボールは有力者や名士のもとに集まりやすい性質があるのです(珍しい宝物は、権力者への献上品になりやすいためです)。

さらに見逃せないのが、悟空とブルマの出会いそのものです。悟飯じいさんは四星球を「じいちゃんの形見」として悟空に残しましたが、あの山奥の一軒家にすらボールは流れ着いていました。
そしてブルマは、レーダーで位置を特定した上で、実際にその場所を訪ねて回るという手順を踏んでいます。レーダーが教えてくれるのは「位置」だけで、最後は結局、人と会い、話し、交渉して手に入れるしかないのです。
レーダー時代ですら収集の最終工程は「人間相手の交渉」だったという事実は、レーダーなし時代の収集が「人探し」で成立し得たことの何よりの傍証といえるでしょう。

情報収集のコツが分かれば、やるべきことはシンプルです。

  1. 各地の市場や酒場で「星の模様の玉」の噂を聞き込む
  2. 噂の出どころをたどり、所有者を特定する
  3. 交渉・買い取り・(場合によっては実力行使)で入手する

これは現実世界の美術品コレクターや、伝説の秘宝を追うトレジャーハンターの手法そのものです。時間はかかりますが、確実性のある方法だといえるでしょう。

ただし、この方法には弱点があります。人里から遠く離れた場所に落ちたボールです。誰にも拾われず、密林の奥や海の底に眠っているボールは、噂にすらなりません。7つのうち5~6個までは情報網で集められても、最後の1~2個で完全に行き詰まる可能性が高いのです。

権力動員説 ~富と権力で「探させる」~

そこで二つ目の仮説です。すでに一定の富や権力を持っていた人物が、人海戦術でボールを探させたという説です。

「王様になった人」と聞くと、無一文の若者が一発逆転でボールを集めて成り上がった、というシンデレラストーリーを想像しがちです。しかし、冷静に考えてみてください。レーダーなしでの収集に最も適性があるのは、すでに大量の人員と資金を動かせる人物です。
この説を裏付ける状況証拠が、実は原作の中にあります。レッドリボン軍です。

レッドリボン軍のレーダーは、後述するようにブルマのレーダーより精度が劣ります。それでも彼らは、軍隊を総動員することで相当数のボールを集めていました。「精度の低い情報 × 圧倒的な人員」で収集は成立することを、レッドリボン軍が実証してくれているのです。

これをレーダーが存在しない時代に置き換えれば、こうなります。

  • 全国に「星の模様の玉を持ってきた者には褒美を与える」とお触れを出す
  • 家臣や兵を各地に派遣し、噂の聞き込みと捜索を行わせる
  • 献上されたボールを鑑定し、本物だけを回収する

懸賞金方式の優れているところは、捜索コストを民衆に外注できる点です。国中の人間が「うちの蔵の玉はもしかして」と自主的に探してくれるわけですから、これほど効率的な捜索網はありません。

「待て待て、王様に『なった』人なんだから、集める前は王様じゃなかったはずだろう」と思う人もいるでしょう。

ごもっともです。しかし、ブルマの話はあくまで伝承レベルの又聞きです。
「一地方の領主や豪族が、ボールの力でより大きな国の王になった」というケースでも、後世には「ボールを集めて王様になった人」として伝わるはずです。むしろ、完全な庶民がレーダーなしで7つ集めるよりも、こちらの方がはるかに現実的だと私は考えています。

そもそも「ニセモノ」と「本物」をどう見分けたのか?

ここで、仮説1・2に共通する重大な問題を検証しておかなければなりません。鑑定の問題です。

懸賞金を出して「星の模様の玉」を募集すれば、当然のように偽物が殺到します。ガラス玉に星を描いただけの粗悪品から、精巧な模造品まで、褒美目当ての民衆はあらゆる「それっぽい玉」を持ち込んでくるでしょう。レーダーがあれば一発で判別できますが、レーダーなしの時代、収集者はどうやって本物を見分けたのでしょうか?

「見分けなんてつかないだろう。だからこの説は成立しない」と考える人もいるかもしれません。
しかし、原作描写を思い返すと、ドラゴンボールには模造がほぼ不可能な物理的特徴がいくつも備わっていることが分かります。

第一に、あの独特の輝きです。ドラゴンボールは内側からオレンジ色に澄んだ、ガラスとも宝石とも異なる質感を持っています。
第二に、内部の星です。ボールの星は表面に描かれているのではなく、球体の内部に浮かんでいるように見えます。当時の技術で、継ぎ目なく球体の中に星を封入することは極めて困難でしょう。
そして第三に、これが決定打ですが、驚異的な頑丈さです。作中でドラゴンボールが割れたり欠けたりした描写は一切ありません。あれだけの戦闘の余波に巻き込まれながら、常に無傷なのです。

つまり鑑定は簡単です。ハンマーで思い切り叩けばいいのです。砕ければ偽物、無傷なら本物候補。乱暴に聞こえますが、これほど確実で低コストな真贋判定はありません。
ニセモノ問題は、収集事業の障害にはならなかったと考えてよいでしょう。

世代継承説 ~一代ではなく、一族で集めた~

三つ目は少し視点を変えた仮説です。収集は一代で成し遂げられたのではなく、複数世代にわたる継承事業だったという説です。
レーダーなしの収集で最大の敵は「時間」です。噂を追い、各地を回り、交渉する──1個あたり数年かかってもおかしくありません。7つとなれば、数十年単位の事業です。

しかしここで、ドラゴンボールの重要な性質を思い出してください。ドラゴンボールは、願いを叶えない限り散らばらないのです。
つまり、集めかけのボールは何年でも、何十年でも手元に置いておけます。親が3つ集めて子に託し、子がさらに2つ集めて孫に託す。こうした「一族の悲願」としての収集であれば、時間の壁は完全に克服できます。

実際、ピラフ一味がこのモデルの生き証人です。ピラフは悟空たちと出会う前の時点で、すでに一星球を確保済みでした。あの小規模な組織でも、長い時間をかければ1個は入手できるのです。これを一族数世代分積み重ねれば、7個到達は十分に射程圏内でしょう。

ちなみにこの説には、面白い副産物があります。もし収集途中で当主が死に、事業が頓挫した場合、その一族の蔵には「集めかけのドラゴンボールが複数個」眠り続けることになります。
ブルマが自宅の物置からボールを発見したのも、あるいは何者かの「集めかけ」の名残だったのかもしれません(これは完全に私の妄想ですが、夢のある話ではないでしょうか)。

そもそも、ドラゴンボールはいつから地上にあったのか?

もう一点、時系列の問題も整理しておきましょう。「王様になった男」の収集は、いつの時代の話なのか?という問題です。
原作の後の展開で明かされる通り、ドラゴンボールと神龍を作ったのは地球の神様です。つまり、どれほど古い伝承であっても、収集が可能になったのは神様がボールを創造した後ということになります。神様がピッコロ大魔王と分離して神の座に就いたのは、作中時点から見ても相当な昔ですから、時間的な余裕は十分にあります。ブルマの語る「昔の王様」の伝承は、この創造から悟空たちの時代までの長い空白期間のどこかに位置づけられるわけです。

ここで一つ、興味深い可能性が浮かびます。もし「王様になった男」がドラゴンボール史上最初の収集者だったとしたら?
その場合、7つのボールは一度も散らばったことがない、つまり神様が最初に配置した(あるいは世に放った)状態のままだったことになります。仮に神様がボールを7か所にまとめて配置していたのなら、最初の収集難易度は、無作為に散らばった後の時代よりずっと低かったかもしれません。伝承の中の男が成功できた理由の一端は、「散らばる前のボール」というボーナスステージ的な条件にあった──そう考えることもできるのです。もっとも、神様がどのようにボールを世に出したかは原作で語られていないため、これは可能性の一つとして提示するにとどめておきます。

「王様になった男」の正体は、犬の国王の祖先なのか?

さて、ここで気になるのが「王様になった男」の正体です。
ピッコロ大魔王編で登場した、あの犬の国王を覚えているでしょうか。地球全土を統治する、世界にただ一人の「王様」です。

引用元 ドラゴンボール 集英社

ここで一つの仮説が浮かびます。ブルマの語った「ドラゴンボールを集めて王様になった人」こそ、あの犬の国王の祖先だったのではないか?という説です。この説、状況証拠だけを並べると、かなり筋が通っています。

第一に、ドラゴンボール世界の地球は、あれだけ多様な人種・種族・文化を抱えながら、たった一つの王政国家としてまとまっています。現実的に考えて、通常の武力や政治力だけで地球統一を成し遂げるのは至難の業です。しかし「神龍の願い」という超常の力があれば話は別です。「世界の王にしてくれ」という願い一つで、地球統一政府の成立が説明できてしまうのです。

第二に、タイミングの整合性です。ブルマは「昔」の話として語っており、現王家が何代も続く古い家系であることと矛盾しません。

第三に、これは傍証レベルですが、犬の国王はピッコロ大魔王に王座を奪われた際も、国民の身を案じる立派な王でした。神龍の加護(あるいは神龍への畏敬)が王家の家訓として受け継がれている、と考えると味わい深いものがあります。

もちろん、反論もあるでしょう。「願いで王になったのなら、なぜ王家はドラゴンボールの存在を公式に語り継いでいないのか」と。
しかし、これはむしろ当然だと私は考えます。「我が王家の正統性は、7つの玉に願った一発の願い事に由来する」などと公表すれば、王権の権威は地に落ちますし、何より次にボールを集めた者に王座を奪われるリスクを自ら宣伝するようなものです。王家がボールの件を「なかったこと」にし、民間伝承レベル(=ブルマの又聞き)にまで風化させたのは、統治戦略として極めて合理的なのです。

以上を踏まえると、私の結論はこうです。
「王様になった男」は、もともと一定の権力を持つ有力者であり(仮説2)、一族数世代にわたる情報網収集(仮説1+3)の末にボールを集め、神龍の願いで地球統一王権を打ち立てた。その末裔が、現在の犬の国王である。

原作で明言されていない以上、これはあくまで仮説の域を出ません。しかし、レーダーなし収集の現実的な手段と、作中世界の政治体制の謎を同時に説明できる点で、十分に検討に値する説だと考えています。

ドラゴンレーダー開発者3者の技術力を比較する

後半は、視点をレーダー時代に移しましょう。原作でドラゴンレーダーを開発したことが確認できるのは、以下の3者です。

  • ブルマ
  • ピラフ(一味)
  • レッドリボン軍(の科学者)

この3者のレーダーを、精度・携帯性・付随技術の観点から比較していきます。

精度:最下位はレッドリボン軍。ただし「実用レベル」ではあった

まず精度です。これは原作の描写から、レッドリボン軍が最も劣ると断言できます。レッドリボン軍のレーダーはおおよその位置しか掴めていないようでした。
ただし、ここで見落としてはいけないのは、レッドリボン軍がその劣ったレーダーでも相当数のボールを集めていたという事実です。「だいたいこのエリアにある」レベルの精度でも、軍を総動員して絨毯捜索すれば実用に足る──先ほど仮説2で触れた「精度×物量」の方程式が、ここでも成立しています。逆に言えば、レッドリボン軍のレーダーは物量でカバー可能な程度には、地域を絞り込める精度を持っていたということです。

レッドリボン軍の運用体制も注目に値します。彼らはブルー将軍、ホワイト将軍、イエロー大佐といった各方面の指揮官に部隊を預け、複数のボールを並行して捜索させていました。
悟空たちが常に1個ずつ順番に集めていたのとは対照的な、組織ならではの同時多発捜索です。もしレッドリボン軍がブルマ級の高精度レーダーを手にしていたら、悟空が介入する前に7つ揃えていた可能性すらあります。レッド総帥が悟空のレーダー(ブルマ製)にあれほど執着したのは、自軍の弱点がレーダー精度ただ一点にあると正確に把握していたからにほかなりません。組
織のトップとして、ボトルネックの見極めは的確だったわけです。……その願い事が「世界征服」ではなく「身長を伸ばすこと」だったのは、あまりにも有名な話ですが。

ブルマ vs ピラフ:精度は互角、携帯性でブルマに軍配

では、ブルマとピラフはどうでしょうか。
両者の精度差を直接比較できる描写は原作にありません。しかし、ピラフ一味は悟空たちと互角のタイミングでボールの所在地に到達し、時には先回りすらしています。この収集レースの実績を見る限り、両者の精度はほぼ互角と考えてよさそうです。

さらに強力な証拠が、ピッコロ大魔王編にあります。復活したピッコロ大魔王は、ピラフのレーダーを使ってドラゴンボールを集めましたが、その収集スピードは驚くべきもので、悟空たちが後手に回るほどの速さで次々とボールを回収していきました。もちろんピッコロ大魔王の圧倒的な武力があってこそですが、そもそも位置情報が正確でなければ、あの電撃的な収集は不可能です。ピラフのレーダーは、世界征服を狙う魔王の実用に耐える精度を持っていた──これは動かぬ実績といえるでしょう。

決定的な差がつくのは携帯性です。ブルマのレーダーは片手に収まるコンパクトサイズで、ボタン一つで縮尺を切り替えられる、現代のスマートフォンを先取りしたかのような完成度を誇ります。
世界屈指の科学企業カプセルコーポレーションの令嬢が、(当時)16歳にしてこれを個人で作り上げたのですから、ブルマの天才ぶりは疑いようがありません。

一方のピラフのレーダーは、基本的に拠点や乗り物に据え付ける大型のものです。技術力の差なのか、単に小型化の必要がなかったのかは判断が分かれるところですが、道具としての洗練度ではブルマが一枚上手と言わざるを得ません。

しかし、ピラフには「対レーダー技術」という独自の武器があった

「なんだ、ピラフは結局ブルマの下位互換か」と思った人、ちょっと待ってください。
ピラフには、ブルマもレッドリボン軍も持っていなかった独自技術があります。レーダーにキャッチされない箱です。

ボールを探知する技術と、探知から隠す技術は、まったくの別物です。しかもピラフのそれは、単なる思いつきではありません。「自分がレーダーでボールを探せるということは、敵も同じ手段でこちらの手持ちボールを探せる」という、収集レースの本質を見抜いた上での対抗策なのです。探知技術で先行するブルマが「攻め」の開発しかしていなかったのに対し、ピラフは「攻め」と「守り」を両輪で開発していた。この戦略眼は、もっと評価されてよいと私は思っています。

ただし、一つ留保をつけておく必要があります。原作の描写からは、ボールが生体の中に入ってしまうとレーダーには反応しないことが分かっています。つまりドラゴンボールの探知反応は、何かに「包まれる」ことで遮断され得る性質を持っているのです。

引用元 ドラゴンボール 集英社

だとすると、ピラフの遮蔽箱は、実はそれほど高度な技術ではなかった可能性もあります。生体を遮蔽できる何らかの条件──たとえば特定の素材や構造──を突き止めて箱に応用しただけなら、ゼロからの発明というより「性質の発見と応用」に近いからです。

とはいえ、です。誰も気づいていなかった性質にいち早く気づき、実用品に落とし込むこと自体が立派な技術力です。コロンブスの卵と同じで、「言われてみれば簡単」なことを最初にやった者こそ評価されるべきでしょう。

番外編:この「遮蔽」の性質は、収集史の謎も解いてくれる

そして、この「包まれると探知できない」という性質は、前半の考察にも重要な示唆を与えてくれます。
もしボールが、動物に飲み込まれたり、レーダーの反応を遮る環境(深い地中や特殊な地形など)に埋もれたりしていた場合、レーダー時代ですら発見は不可能になります。ブルマたちの収集が毎回ギリギリ7つ揃ったのは、幸運にもそうした「探知不能ボール」が発生しなかったからにすぎません。

逆に、レーダーのない時代の収集者にとっては、探知可能かどうかは最初から関係ありません。「人の噂」という、レーダーには映らない情報網だけを頼りに集めたのですから。皮肉なことに、生体に飲み込まれたボールでさえ、「変な玉を吐き出した/腹から出てきた」という噂にはなり得るわけで、伝承ベースの捜索はある意味でレーダーより検出範囲が広いとすら言えるのです。

総括

今回の考察をまとめます。

  • ドラゴンボールは目立つ外見ゆえに、散らばった後は「誰かに拾われ、保管される」確率が高い。よってレーダーなしの収集は「球探し」ではなく「所有者探し」であり、至難ではあるが不可能ではない
  • 「王様になった男」は、①噂と伝承を追う情報網収集、②権力と懸賞金による人海戦術、③一族数世代にわたる継承事業、の組み合わせでボールを集めたと推測される
  • 偽物の混入は「叩いても壊れない」というドラゴンボールの物理的特徴で容易に判別でき、鑑定は収集の障害にならない
  • 収集が可能になったのは神様によるボール創造以降であり、伝承の男が「史上初の収集者」だった場合、一度も散らばっていないボールを集めた可能性すらある
  • その人物は現王家(犬の国王)の祖先であり、神龍の願いによって地球統一王権が成立した、という仮説は、作中世界の政治体制の謎とも整合する
  • レーダー開発3者の精度は「ブルマ≒ピラフ>レッドリボン軍」。ただしレッドリボン軍は物量で精度不足を補い、ピラフは遮蔽箱という独自の対抗技術で存在感を示した
  • 「生体内・遮蔽下のボールは探知不能」という性質は、レーダー万能説への警鐘であると同時に、噂ベースの伝承収集が持つ意外な優位性を浮かび上がらせる

レーダーという文明の利器がなかった時代に、噂を頼りに世界を巡り、一族の悲願として玉を追い続けた名もなき収集者たち。その執念の果てに王座を掴んだ男がいた──そう考えると、ブルマが何気なく語ったあの一言の裏に、壮大なドラマが眠っているように思えてなりません。

皆さんは、王様になった男はどうやってボールを集めたと思いますか? ご意見・反論、お待ちしています。

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