フリーザはなぜサイヤ人を滅ぼしたのか?

サイヤ人
引用元 ドラゴンボール 集英社

悟空やベジータの生まれ故郷である惑星ベジータはフリーザによって滅ぼされています。
アニメスペシャルで放映された「ドラゴンボールZ たったひとりの最終決戦 」では、その時の戦いが詳細に描かれています。
私もそうですが、リアルタイムで観ていた人も多いのではないでしょうか。

フリーザが惑星ベジータを消滅させようとしていることを事前に察知した悟空の父、バーダックがたった一人でフリーザに戦いを挑み、最後には無念の死を遂げるまでが描かれています。
そしてその想いは、息子であるカカロット、悟空へと託されます。
このアニメスペシャルはかなりできがよく、後に原作にも設定が逆輸入され、フリーザの回想シーンで描かれているほどです。

引用元 ドラゴンボール 集英社

しかし、なぜフリーザは惑星ベジータ、そしてサイヤ人を滅ぼしたのでしょうか?
この頃のサイヤ人はフリーザ軍の配下として、多くの星を侵略していました。
つまり戦闘民族サイヤ人は、フリーザ軍にとっても貴重な戦力だったと思われます。
そんなサイヤ人を滅ぼすことはフリーザ軍にとってもマイナスであるはずです。

フリーザがサイヤ人を恐れていた理由としてよくあげられるのが、「スーパーサイヤ人」を恐れていたというものです。
その根拠は、以下のフリーザのモノローグシーンがあります。

引用元 ドラゴンボール 集英社

しかし、これだけでフリーザがスーパーサイヤ人を恐れていたからサイヤ人を滅ぼしたと断定できるでしょうか?
確かにフリーザは「スーパーサイヤ人」を警戒していたのは間違いなさそうです。
しかし、これはあくまでナメック星に到着して以降のフリーザの考えです。
この時点ではスーパーサイヤ人がどんな存在でどれくらい強いのかは誰にもわかりません。
漠然とめんどくさそうだという思いはあっても、それだけを理由に大切な戦力であるサイヤ人そのものを滅ぼすでしょうか?
なによりスーパーサイヤ人を理由にサイヤ人を滅ぼしたのなら、なぜベジータやナッパ、ラディッツはなぜ生き延びたのか?
スーパーサイヤ人になるとしたら。子どものころからベジータ王以上の戦闘力をもっていた天才戦士ベジータが最も可能性が高いと思われるのだから、本当にスーパーサイヤ人を恐れていたのならベジータを生かしてくはずがありません。

この問題の答えはドドリアが教えてくれました。
フリーザがベジータを生かした理由は、ベジータの才能を惜しんだからとのこと。
サイヤ人の中でも類まれなる戦闘資質をもつベジータは、確かにフリーザ軍にとって貴重な戦力だったことでしょう。
フリーザ軍本体にどれだけの幹部がいるかはわかりませんが、ドドリア、ザーボンが側近、それ以外にはギニュー特戦隊、そしてキュイくらいしか高い戦闘力を持っている戦士はいなさそうです。
それはメカフリーザがコルドと一緒に地球に襲来した際に連れてきた部下の中に、幹部クラスと思われる戦士がいなかったことからも想像できます。

ドドリアはさらにフリーザがサイヤ人を滅ぼした理由についても説明してくれています。
フリーザはサイヤ人を重用していました。しかし、サイヤ人一人ひとりの力は大したことはないが、団結をしたら厄介なことになる。
さらにベジータのように飛びぬけて戦闘力が高い戦士も増えてきていることから、今のうちに手を打っておくことにしたとのことです。

引用元 ドラゴンボール 集英社

つまりフリーザはサイヤ人一人一人の戦闘力ではなく、徒党を組んで反旗を翻したときのことを懸念していたようです。
サイヤ人は下級戦士と言われるラディッツですら戦闘力1,500。エリート戦士のナッパは公式の大全集によれば4,000(ナッパの戦闘力については異論がありますので、別の機会に論じたいと思います。)あります。
翻ってフリーザ軍は幹部こそ20,000前後の戦闘力をもっているものが数人いますが、それ以外はクリリン、悟飯にも軽くあしらわれる程度の実力しかありません。
戦闘力が1000のナメック星人3人の若者相手に、集団なら余裕で勝てるとふんでいたことから。おそらくフリーザ軍の一般戦士は1000前後くらいだろうと思われます。

引用元 ドラゴンボール 集英社

さらに恐ろしいのはサイヤ人の最大の特徴である大猿化です。
なんと大猿化したサイヤ人の戦闘力は平常時の10倍になるとのこと。
つまりラディッツは15,000。ベジータの戦闘力は180,000にもなってしまいます。
このことからベジータはギニュー以上だということを、よく強調する人がいるのですが、サイヤ人の大猿化は単体では大したことがないのです。
なぜなら大猿になるために必要な月を消されたり、しっぽを切られてしまえば元に戻ってしまうからです。
仮にベジータが一人で大猿化してフリーザ軍に反乱を起こしたとしても、ギニュー特戦隊が連携をとればあっさりとしっぽを切られて戻されてしまうでしょう。
地球人数人の連携でもベジータのしっぽを切ることができたのです。ギニュー特戦隊でなかったとしても、フリーザ軍の一般兵が連携すれば簡単にできるはずです。

しかし、これが徒党を組んだサイヤ人だったら別です。
例えば100人、1000人のサイヤ人が一斉に大猿化し、パワーボールを作れる戦士は後ろに控えて、パワーボールが消されても消されても交代で作り続けたらどうなるでしょうか?
最終的にはフリーザ一人に殲滅されるかもしれませんが、確実にフリーザ軍を壊滅させることはできると思われます。
つまりフリーザは組織のリーダーとして将来のリスクは早めに刈り取っておく決断をしたのだと思われます。

しかし、フリーザはベジータの才能は認めていた。
サイヤ人の中でも飛びぬけて戦闘力が高いベジータを殺してしまうのはもったいない。
なので、わざわざベジータが遠征している時を見計らって惑星ベジータを消滅させた。
これがフリーザがサイヤ人を滅ぼしたことの真相でしょう。

引用元 ドラゴンボール 集英社

余談ですが、ベジータはともかく、ナッパやラディッツが生き残ったのはなぜでしょうか?
フリーザにとってナッパとラディッツを生かしておく特別な理由があったとは思えません。

ラディッツは地球に来た時にこんなことを言っていました。

引用元 ドラゴンボール 集英社

ラディッツと一緒に「よその星を攻めていた」戦士はおそらくナッパでしょう。
年齢的に悟空と同じく「星に送り込まれていた」のがナッパとは考えにくいからです。
となると、必然的に 「星に送り込まれていた」 のはベジータという事になります。
ベジータはエリート戦士ですが、サイヤ人の英才教育の一環で他の星に送り込まれていたということでしょうか。

フリーザはこのベジータが惑星ベジータにいない時を狙って攻撃を仕掛けと思われます。
その時ラディッツ、ナッパも別の星を攻めていて偶然難を逃れたとも考えられますが、少し疑問があります。
それは、ベジータ、ラディッツ、ナッパ以外に他の星を攻めていたサイヤ人がいなかったというのは不自然過ぎるという事です。
おそらくこれは、映画ドラゴンボール超の「ブロリー」で描かれているように遠征に出ていたサイヤ人に対して全軍帰還命令が出たと考えるのが自然でしょう。
(映画の中ではラディッツとベジータが一緒にいるシーンがありますが、上記の原作のセリフと矛盾するため、ここは無視して考える必要があります。)
おそらくフリーザはこの帰還命令をベジータには送らなかったと思われます。そして何らかのミスでラディッツ、ナッパにも何らかのミスにより、帰還命令が届かず偶然難を逃れた。
こう考えれば辻褄があいます。

また、最後にひとつ。ドラゴンボール超ではフリーザがサイヤ人を滅ぼしたのはビルスの命令という事になっていますが、この考察ではアニメや映画のみにでてくるオリジナル設定は基本的に無視しています。
前述の「ブロリー」のシーンに関しては、あくまで原作に描かれていない部分を考察する際の参考として引用しています。

映画「ブロリー」にまつわるバーダックの性格については別の記事で考察していますので、興味のある方はぜひご一読ください。

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